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ネズミの侵入口は2センチ──毒餌を置いても減らない理由

毒餌を置いたのに減らない、という相談には、行政の資料に書かれた説明が付きます。日本の住宅で問題になりやすいクマネズミは、警戒心が非常に強く、殺そ剤感受性が低いとされているからです。

そしてもう一つ、順序の問題があります。餌を減らし通り道を塞がないかぎり、外から新しい個体が入ってきます。千代田区の公式ページは、その通り道の大きさを具体的な数字で書いています。

2センチあれば入れる

千代田区/年末ねずみ一斉駆除には、「侵入口の大きさが2センチメートル以上あれば、ねずみは侵入することができます」と記載されています。塞ぐ資材として金属だわし亀甲金網が挙げられています。

このページは2016年12月7日更新と、かなり古いものです。 生態や体長といった、時間で変わりにくい記述として読んでください。区の実施事業の内容や日程は、現在の公式ページで確認する必要があります。なお同ページには、区が毎年、ねずみの一斉駆除のために殺鼠剤を町会に配布しているという記載もあります。

2センチというのは、思っているより小さい寸法です。500円玉の直径が約2.65センチですから、それより小さい穴を通れることになります。エアコン配管の壁貫通部、換気扇のフード、水道管まわり、床下換気口、基礎と土台のすきま——住宅にはこの寸法の開口が普通に存在します。

ドブネズミとクマネズミの違い

同じ千代田区のページは、2種を対比して説明しています。

項目ドブネズミクマネズミ
目・耳小さい大きい
尻尾短い長い
体長22〜26cm15〜20cm
生息場所床下・下水溝など水気の多い場所(同ページに記載なし)
警戒心(同ページに記載なし)非常に強い
殺そ剤感受性(同ページに記載なし)低い

体長はドブネズミのほうが大きく、耳と尻尾はクマネズミのほうが目立つ、という組み合わせです。空欄にしたところは、同ページに対応する記述がないため埋めていません。

表の最後の2行が、この記事の中心です。 警戒心が非常に強く、殺そ剤感受性が低いという二つの性質が重なると、毒餌はうまく機能しません。警戒心が強いということは、見慣れない物体(餌箱・粘着シート・毒餌そのもの)を避けるということです。仮に食べたとしても、感受性が低ければ致死量に届きません。

「毒餌を置いたのに減らない」という体験は、やり方が悪かったというより、相手の性質としてそう記述されているということです。

封鎖が本筋で、毒餌は補助

以上を踏まえると、手を付ける順序は次のようになります。

  1. 餌と水を断つ。 食品を密閉容器に移し、生ごみを夜間に出しっぱなしにしない。ペットフードを置きっぱなしにしない
  2. 侵入口を塞ぐ。 2センチ以上の開口を探し、金属だわしや亀甲金網で塞ぐ。パテだけだと齧られるため、金属と併用する
  3. 通り道を減らす。 壁際の物を減らし、配管まわりの隙間を埋める
  4. そのうえで、必要なら毒餌や罠を使う

順序を入れ替えると、労力が空回りします。塞がないまま毒餌だけ置けば、減った分だけ外から補充されます。逆に、塞ぐ作業が進めば、中に残った個体の数は有限になります。

どこを探せばいいか

痕跡から侵入口を絞ります。

痕跡見る場所
ラットサイン(体の脂で黒ずんだ擦り跡)壁際、配管、梁の上、通気口のふち
天井裏、シンク下、収納の奥
齧り跡配線、木部、断熱材、食品の袋
夜間の天井裏・壁の中。走る音か、齧る音か

擦り跡は数センチ幅の黒い線として残るので、懐中電灯を斜めから当てると見つけやすくなります。

天井裏・床下に入る作業について

ここは慎重に書きます。痕跡を探すために天井裏や床下へ入るのは、それ自体が危険を伴う作業です。

  • 感電:天井裏には配線が走っています。踏み抜いた拍子に触れる可能性があります
  • 踏み抜き:天井板は人の体重を支えません。梁の上以外に足を置けば、そのまま下の部屋に落ちます
  • 断熱材と粉じん:グラスウールや長年の埃を吸い込むことになります。防じんマスクと保護メガネ、長袖・手袋が要ります
  • 狭所での姿勢:床下は仰向けで移動することになり、体を起こせません

高齢の方、一人で作業する方、脚立を使う必要がある方は、入らない判断をしてください。 外周から見える範囲の開口を塞ぐだけでも、進みます。それ以上は外注する領域です。

害虫・害獣の駆除には公的な資格制度がないため、業者選びの基準は自分で持つ必要があります。この点は害虫駆除に公的な資格制度は無いにまとめました。

相談件数から見た、ネズミの位置づけ

ネズミの相談は、行政・業界の統計でも上位に入ります。

東京都ペストコントロール協会 機関誌067号(東京都福祉保健局・片上香織/平成25年度)によれば、東京都の害虫相談は平成15年度以降35,000件前後で推移し、平成24年度は37,552件。その内訳は刺咬昆虫20,853件(55.5%)が最多で、ネズミ類は7,639件(20.3%)で第2位でした。データ年次は古いので、平成24年度時点の数字として読んでください。

より新しいものでは、日本ペストコントロール協会が内閣府消費者委員会に提出した資料(令和7年2月28日)があります。協会への相談件数は令和5年度で54,185件、相談内容の1位はハチ、2位はネズミ。増大傾向にあるものとしてトコジラミ、カメムシ、ゴキブリ、ネズミが挙げられています。

10年以上の間隔をあけた2つの資料で、どちらもネズミが2位です。特殊な事例ではなく、住宅で普通に起きることという位置づけになります。

なお、駆除を依頼する側のトラブルも増えています。国民生活センターに寄せられたネズミ駆除の相談は2018年度229件から2023年度385件へ増加しており、契約金額約13万円という事例も公表されています。広告の「◯◯円〜」がどう膨らむのかは「550円〜」が十数万円になる仕組みで分解しました。

同じ室内の害虫でも、種類によって難しさの理由が違います。ゴキブリの場合は世代交代の速さが効いてきます。詳しくはクロゴキブリとチャバネゴキブリの違いをどうぞ。

この記事の要点

  • 千代田区は「侵入口の大きさが2センチメートル以上あれば、ねずみは侵入することができます」と記載。塞ぐ資材として金属だわし・亀甲金網を挙げている(ただし同ページは2016年12月7日更新と古い)
  • 千代田区は毎年、ねずみ一斉駆除のため殺鼠剤を町会に配布している
  • ドブネズミは体長22〜26cm、目・耳が小さく尻尾が短い。床下・下水溝など水気の多い場所
  • クマネズミは体長15〜20cm、目・耳が大きく尻尾が長い。警戒心が非常に強く殺そ剤感受性が低い
  • 順序は「餌を断つ→侵入口を塞ぐ→通り道を減らす→必要なら毒餌」。封鎖が本筋で毒餌は補助
  • 天井裏・床下に入る作業は感電・踏み抜き・粉じんの危険がある。無理をしない
  • 機関誌067号では平成24年度の都の害虫相談37,552件のうちネズミ類7,639件(20.3%)で第2位。日本ペストコントロール協会の資料でも相談の2位はネズミ

天井裏や床下に入る作業は、無理をせず外注する

侵入口が屋根裏や床下にある場合、自分で入ること自体が危険を伴います。どこを塞ぐのか、どの範囲まで作業するのかを図や写真で示してもらったうえで、複数社を比べてください。

駆除業者に相談する

賃貸・区分所有の建物では、先に管理会社へ連絡してください

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