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害虫駆除の相談は5年で2.7倍・最多は20歳代|統計の内訳を読む

害虫駆除のトラブルが増えている、という話には数字の裏づけがあります。ただ、その数字の内訳を見ると、多くの人が思い描く「被害者像」とは違う姿が出てきます。

この記事では、国民生活センターが2024年4月24日に公表したネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意(2026年7月時点で公開中)の内訳を、年度・害虫別・年代別・性別の順に読みます。統計に書かれていないことは、書かれていないと明示します。

相談件数は5年で2.7倍になっている

PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に寄せられた、害虫・害獣駆除に関する相談件数の推移です。この集計にシロアリは含まれていません。

年度相談件数
2018年度854件
2019年度907件
2020年度972件
2021年度1,383件
2022年度1,612件
2023年度2,290件

2018年度から2023年度で約2.7倍です。特に2020年度から2021年度にかけての伸びが目立ちます。ただし、この統計は「トラブルが起きた件数」ではなく「消費生活センター等に相談が寄せられた件数」です。件数の増加には、相談窓口の認知が広がった影響も含まれうるという点は、統計を読むときに外せません。

どの害虫の相談が増えたのか

2018年度と2023年度を並べると、増え方には差があります。

害虫2018年度2023年度
ハチ225件752件
ゴキブリ43件611件
ネズミ229件385件
コウモリ54件114件

件数がいちばん多いのはハチです。一方、伸び方が突出しているのはゴキブリで、43件から611件へと10倍以上になっています。ハチとコウモリは季節や建物の構造に左右されますが、ゴキブリは季節を問わず、集合住宅でも一戸建てでも起こります。相談の入口として広い、とは言えます。

ハチについての内訳と事例は蜂の巣駆除で高額請求に遭う人はどれくらいいるかで個別に扱っています。

相談しているのは、高齢者ではなく20歳代が最多

ここがこの統計のいちばん意外な部分です。2023年度の相談者を年代別に見ると、次のようになります。

年代件数割合
10歳代113件5.5%
20歳代439件21.5%
30歳代267件13.1%
40歳代165件8.1%
50歳代260件12.7%
60歳代290件14.2%
70歳代283件13.9%
80歳代以上226件11.1%

20歳代が439件・21.5%で最多です。2位の60歳代(290件・14.2%)を大きく離しています。10歳代と20歳代を足すと552件で、全体の27%になります。

性別では、女性1,452件(66.2%)、男性740件(33.8%)でした。

「悪質な業者に引っかかるのは高齢者」というイメージは、少なくともこの分野の統計には当てはまりません。むしろ逆の分布が出ています。

なぜ20歳代が多いのか——資料には書かれていない

理由については、この公表資料に説明はありません。ですので、ここから先は確認できていない推測であることをはっきりさせたうえで書きます。

考えられる方向のひとつは、検索して業者を探す層と重なっている可能性です。この統計が扱っているのは「ネットの価格と全然違う」という類型で、広告表示が入口になっています。困ったときにまず検索し、上位に出た広告から電話をかけるという行動をとる人ほど、この入口に触れる回数が多くなる。20歳代は初めての一人暮らしや初めての住宅トラブルに直面する時期でもあり、比較の基準を持っていないことも多い。

ただし、これは統計から直接読めることではありません。資料に書かれていない以上、断定はできません。言えるのは「年代別の分布が高齢者中心ではない」という事実までです。

もうひとつ、統計の性質としての注意もあります。年代別の割合は「その年代がだまされやすいか」ではなく「相談窓口に連絡した人の年代構成」です。相談しやすさ自体が年代によって違う可能性は残ります。

「呼んで来てもらう」トラブルと「向こうから来る」トラブルは別物

同じ国民生活センターの訪問販売によるリフォーム工事・点検商法(2025年8月更新、2026年7月時点)の統計を並べると、輪郭がはっきりします。

年度訪問販売によるリフォーム工事点検商法
2022年度10,099件8,166件
2023年度11,878件12,550件
2024年度9,820件19,215件

点検商法は3年で2倍以上に増え、件数の規模も害虫・害獣駆除の相談(2023年度2,290件)とは桁が違います。そして点検商法は、国民生活センターが「不安をあおって必要のない工事を契約させる手口で、特に高齢者が狙われやすい」と整理している類型です。

つまり、住宅まわりのトラブルには方向の違う二種類があります。

害虫・害獣駆除のトラブル点検商法
きっかけ消費者が困って自分で連絡する事業者が訪ねてくる
入口検索結果・広告インターホン・電話
相談者20歳代が最多高齢者が狙われやすいと整理されている
対策の要点呼ぶ前に総額と条件を確認するその場で決めない・追い返してよい

呼んだ側と呼ばれていない側では、身を守る手順が違います。自分で電話をかけた相手に対しては「来てもらった以上、断りづらい」という心理が働きます。訪ねてきた相手に対しては、そもそも話を聞く義務がありません。同じ「悪質業者に注意」という言葉でまとめてしまうと、この差が見えなくなります。

なお、シロアリは前掲のPIO-NET集計から除外されています。シロアリの点検を名目にした訪問は点検商法の側の類型として扱われることが多く、統計の置き場所が違う点にも注意してください。

統計から持ち帰るもの

  • 害虫・害獣駆除(シロアリを除く)の相談は2018年度854件から2023年度2,290件へ、約2.7倍
  • 件数最多はハチ、伸び最大はゴキブリ(43件→611件)
  • 相談者は20歳代が21.5%で最多、女性が66.2%
  • 20歳代が多い理由は資料に書かれていない。検索で業者を探す層と重なる可能性はあるが、推測の域を出ない
  • 「呼ぶ」トラブルと「来られる」トラブルは別物として対策する

広告表示が請求額に化ける仕組みそのものは「550円〜」の広告が十数万円になる仕組みで分解しています。そして、この業界には公的な資格・登録制度が無いという前提を害虫駆除に公的な資格・登録制度はあるのかで確認しておくと、業者を選ぶときに何を見るしかないのかがはっきりします。すでに契約してしまった場合の期限の数え方は訪問販売は8日以内なら解約できるにあります。

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