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スズメバチとアシナガバチの巣の見分け方|形・色・大きさで判断する

軒下に何かがある、というところまでは分かった。けれど近づいて確かめる気にはならない。——この判断は、形さえ見えれば離れた場所からでもだいたいつきます。決め手は巣の輪郭と、六角形の穴が外から見えているかどうかの二点です。

ここでは練馬区が公開しているスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの習性と見分け方(2018年12月更新)の記述を軸に、体長・巣の形・色・時期ごとの大きさ・攻撃性を並べます。あわせて、なぜ素人が種類を見分ける必要があるのか——実は制度の話です——も書きます。

最初に見るのは、六角形の穴が見えているかどうか

練馬区の説明はきわめて具体的です。

  • スズメバチの巣は「とっくりを逆さにした形が特徴」で、「まだら模様やしま模様があらわれる場合もあります」
  • アシナガバチの巣は「六角形の穴がたくさんあって、下か横をむいています」で、色は「白色系・灰色系で、少し薄い茶色が混ざっている場合があります」

つまり、巣の表面が閉じていて袋状に見えるならスズメバチ、シャワーヘッドのように穴が並んで露出しているならアシナガバチ、というのが第一の分かれ目です。色も手がかりになり、しま模様が出ているものはスズメバチ側です。

ミツバチについては、練馬区のページは巣の形状に踏み込んでおらず、「農業では、果物や花卉など作物の受粉に広く用いられる益虫」「人を襲うことはほとんどありませんが、つまんだりすると刺されることがあります」という記述にとどまります。この記事でも、ミツバチの巣の形については確認できた範囲を超えて書きません。

三種の比較表(2026年7月時点・練馬区の記述より)

項目スズメバチアシナガバチミツバチ
体長30ミリメートル超。「日本では最も大きなハチの一つ」約20ミリメートル。「スズメバチよりも小型で細身」同ページに記載なし
巣の形「とっくりを逆さにした形」「六角形の穴がたくさんあって、下か横をむいています」同ページに記載なし
巣の色まだら模様やしま模様が出る場合がある白色系・灰色系、薄い茶色が混ざることも同ページに記載なし
穴の向き記載なし(全盛期に「出入り口が一か所」できる)下か横同ページに記載なし
時期と大きさ5月頃に作り始め、9〜10月の全盛期に直径20〜30センチメートル作り始めで4〜5センチメートル、初夏で約10センチメートル、秋にはさらに大きく同ページに記載なし
攻撃性「巣を守る本能が非常に強いため、興奮すると人を攻撃することがあり、注意が必要」「巣に近づいたり、巣を刺激したりしなければ、人を刺すことはありません」「人を襲うことはほとんどありませんが、つまんだりすると刺されることがあります」
営巣場所樹木の枝や家屋の軒下軒先や庭木の枝先など、いろいろなところ同ページに記載なし

なお練馬区は、スズメバチもアシナガバチも「冬を越すことはできません」と説明しています。冬に見つけた巣は、その年に役目を終えたものである可能性があります。ただし越冬しないことと、いま中にハチがいないことは別の話です。目視で空だと決めつけないでください。

大きさから時期を逆算する

大きさは種類の判定にも、危険度の判定にも使えます。

見えている大きさ読み取れること
4〜5センチメートルで穴がむき出しアシナガバチの作り始め
10センチメートル前後で穴がむき出しアシナガバチの初夏頃の巣
袋状で握りこぶし以下スズメバチの初期(5月頃)の可能性
袋状で直径20〜30センチメートルスズメバチの全盛期(9〜10月)

スズメバチの巣が直径20〜30センチメートルに達するのは9〜10月です。この時期はハチに刺されるのはいつ・どこが多いのかで扱う救急搬送の統計でも搬送人員が増える時期と重なります。大きな袋状の巣を見つけた時点で、自分で何とかする選択肢は消えると考えてください。

なぜ見分けが必要か——制度がスズメバチにしか使えないことが多い

種類の判別は、虫好きのための知識ではありません。自治体の無料撤去や補助金は、対象をスズメバチに限っている例が目立つからです。相談の電話をかける前に種類の見当がついていると、話が早く進みます。

自治体対象の書かれ方時点
江東区スズメバチの巣のみ。アシナガバチの巣は区が撤去しない2023年12月更新
葛飾区スズメバチはすぐやる課(業者委託を含む)が駆除。アシナガバチは原則自己駆除で、職員が駆除方法を指導2021年9月更新
成田市対象はスズメバチ亜科のみ2024年4月更新
静岡市スズメバチの巣の除去費用が対象。アシナガバチは対象外2026年4月更新
高崎市スズメバチ以外は対象外2026年4月更新

同じ「ハチの巣」でも、種類が違えば行政の扱いはまるで別になります。制度の中身と金額の幅はスズメバチ駆除に補助金を出している自治体の比較に、そもそも市区町村が取ってくれるのかという条件の違いはハチの巣は市区町村が駆除してくれるのかにまとめています。制度は年度で変わり、予算枠で年度途中に受付を終える自治体もあるため、金額はお住まいの自治体の公式ページで最新を確認してください。

近づかずに確かめる

見分けのために巣へ近寄る、という順序は逆です。練馬区がスズメバチについて「巣を守る本能が非常に強い」と書いている以上、確認作業そのものを距離を取って済ませます。

  • スマートフォンのズームで撮る。 撮った写真を拡大すれば、穴が見えるかどうかも色も分かります。窓ガラス越しでも判定はできます
  • 巣の真下や正面に立たない。 出入り口の延長線を避け、建物の陰など遮るものがある位置から見ます
  • 夜間に懐中電灯の光を巣へ向けない。 光を当てる行為は巣を刺激することになりますし、暗い場所では距離感を誤って逃げ遅れます
  • 枝を払って視界を確保しない。 郡山地方広域消防組合が公表した5年間のハチ刺されによる救急統計(令和7年6月公表)では、搬送された307人のうち発生場所として最も多いのが草刈り・剪定・伐採中の128人(41.7%)でした。一消防本部の統計ではありますが、「よく見ようとして枝をいじる」がいかに危ない動作かは読み取れます
  • 撮った写真を自治体の窓口に見せる。 電話口で形を説明するより、画像があるほうが判定は確実です

種類の見当がついたら、次に決めるのは自分で取るかどうかです。その線引きはハチの巣を自分で取っていい場合と、やめるべき場合で条件ごとに整理しています。とっくり型だった時点で、答えは出ています。

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