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新築・リフォーム時のシロアリ対策はどこまで必要か──フラット35の基準

新築するとき、シロアリ対策として何をどこまでやるべきか。この問いに答える手がかりになるのが、住宅金融支援機構の融資基準です。融資を受けるための条件として、防腐・防蟻の仕様が具体的に書かれているからです。

そして、その中身を読むと少し意外なことがわかります。基準が認めている方法には、薬剤を使わないものが複数含まれている。 樹種を選ぶ、軒を深く出す、外壁に通気層を設ける。これらが薬剤処理と並列に置かれています。以下、2026年7月時点の公開内容から整理します。

どこが対象になるのか

【フラット35】の在来木造等の耐久性基準では、防腐・防蟻措置の対象を次のように定めています。

外壁の軸組などで、地面からの高さ1m以内の部分

高さ1m以内という区切りが基準になっています。地面に近いほど湿気とシロアリの影響を受けやすいという前提です。この「1m」という数字は、シロアリ防除の施工の場面でも出てきます。日本しろあり対策協会の標準仕様書が定める木部処理の範囲も「基礎天端から1m以内」です(見積書を標準仕様書の数値で検算する参照)。新築の仕様と、既存住宅の防除施工が、同じ高さを見ていることになります。

6つの選択肢

同基準では、この部分について次のいずれかの措置を取ることとされています。

#措置薬剤を使うか
1耐久性区分D1の樹種(ひのき、ひば、すぎ等)を用いる使わない
2防腐・防蟻薬剤の塗布、加圧注入、または浸漬材を用いる使う
3外壁下地材に薬剤処理をした合板・ボードを用いる使う
4真壁造で、軒の出を90cm以上とする使わない
5外壁に通気層を設ける使わない
6小径12cm以上の製材を用いる使わない

いずれか、という形で並んでいるのがこの表の要点です。6つのうち4つは、薬剤処理を含んでいません。

樹種を選ぶ(1)、断面の大きい材を使う(6)というのは、材料そのものの性質に頼る方法です。軒の出を90cm以上取る(4)、外壁に通気層を設ける(5)は、そもそも壁の下部を濡らさない・乾かすという設計の方法です。

これは「薬剤が要らない」という意味ではありません。基準が複数の道を並べている、という事実の紹介です。設計の段階でどれを選ぶかは施主が関与できるところなので、工務店の標準仕様が2番だけになっているなら、他の選択肢についても聞いてみる価値があります。軒の出や通気層は、雨仕舞いや外壁の耐久性にも関わる話なので、シロアリ単独の判断にはなりませんが、少なくとも選択肢として存在します。

基礎の内周部について

同じ基準には、基礎の内周部などの防蟻措置も定められています。ここには地域の除外規定が付いています。

北海道、青森県など寒冷地を除く

除外地域以外では、次のいずれかを行うこととされています。

方法内容
べた基礎べた基礎で覆う
コンクリートコンクリートを打設する
土壌処理薬剤による土壌処理を行う

寒冷地が除外されているのは、分布の問題です。ヤマトシロアリの分布は「北海道北部を除く日本全土」とされており、北のほうでは前提が変わります。分布と種類の違いはヤマトシロアリとイエシロアリの違いに整理しました。

財形住宅融資の技術基準に書かれていること

住宅金融支援機構の財形住宅融資(新築)技術基準では、土台についてより具体的な指定があります(2026年7月時点)。

  • 土台は「ひのき、ひば、べいひ等の樹種」を用いる
  • または「JAS規定の保存処理の性能区分K3以上」のものを用いる
  • 「土台に接する外壁の下端には水切りを設けます」

ここでも樹種と薬剤処理材が並列です。そして水切りが明記されている点に注目してください。水切りは、外壁を伝ってきた水を土台に回さないための金物です。シロアリ対策の話をしていると薬剤に意識が向きがちですが、基準の中身は「濡らさない」「乾かす」という水の処理にかなりの比重を置いています。

木材保存処理の性能区分K3以上、という表記も見積書や仕様書で確認できる項目です。図面や仕様書に樹種と処理区分が書かれているか、引き渡し前に見ておくとよい箇所です。

建築基準法についてはこの記事では触れません

「地面から1m以内の防腐・防蟻は建築基準法で義務」という説明を目にすることがありますが、当サイトでは条文を直接確認できていないため、法令上の義務としては書きません。ここで示したのは、あくまで住宅金融支援機構の融資を受けるための技術基準です。基準に適合させる理由は「融資の条件だから」であって、「法律違反になるから」ではありません。

法令上どうなっているかを確かめたい場合は、設計者か建築確認を出す先の行政庁に直接聞くのが確実です。

リフォームのときに見るところ

既存住宅の改修でも、上の考え方はそのまま使えます。

  • 外壁を張り替えるなら、通気層を設けるかどうかを聞く
  • 土台や柱の下部を交換するなら、樹種と処理区分を仕様書に書いてもらう
  • 水切りが機能しているか(変形・欠損がないか)を見てもらう
  • 床下の湿気の状態を、工事前に確認しておく

そして、リフォームの提案が訪問販売から来ている場合は、話の順序を変えたほうがよいことがあります。前回の防除から5年たったという理由だけで工事が必要になるわけではないことは、業界団体自身がQ&Aに書いています。シロアリ防除は5年ごとに必要かに、その原文と、点検商法の相談統計をまとめています。

この記事の要点

  • 【フラット35】の耐久性基準では、防腐・防蟻措置の対象は「外壁の軸組などで、地面からの高さ1m以内の部分」
  • 措置は6つの選択肢から選ぶ形で、うち4つ(樹種D1・軒の出90cm以上の真壁造・外壁の通気層・小径12cm以上の製材)は薬剤処理を含まない
  • 基礎内周部の防蟻措置は、べた基礎で覆う/コンクリート打設/薬剤による土壌処理のいずれか。北海道、青森県など寒冷地は除く
  • 財形住宅融資の技術基準では、土台は「ひのき、ひば、べいひ等」またはJAS規定の保存処理の性能区分K3以上。土台に接する外壁の下端には水切りを設ける
  • 当サイトでは建築基準法上の義務としては書かない。根拠は住宅金融支援機構の融資基準
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